恋と旧懐~兎な彼と私~

10分が経過した頃。
            
小さなフードコートの丸い机を,囲むように座る男女数人。   
          
そこには伊希もいて,あとは知らない年上の人。           
             
談笑する彼らの傍にたっているだけの私。
             
はぁ……          
            
伊希はきっちり私からアイスを奢って貰っていて,今すぐにも返して欲しいくらい。
            
しかも,毎回思うけど,『親同士が仲良くて』っていうの絶対いらないよね。
             
2人で出掛けてんだから普通に仲良いじゃだめなの?        
            
             
              
「伊希,私本屋にいるから」
            
              
          
何年目か,何度目か分からない寂しさとイライラを募らせて,私はその場から離れる。

分かってる,これは,ただ私が勝手にすねてるだけだって。
           
あそこにいても仕方がない。