恋と旧懐~兎な彼と私~

「別に,入るけど」
             
             

居心地の悪さを感じて,そっぽ向く。
             
幼馴染みとはいえ人様の家。
              
たとえ何度も入っていようが許可なくあがるのは気がひけると言うもの。
              
              
              
「とぉさん達も愛深ならいいって言ってるって昔から言ってるでしょ」
             
「分かってるけど…」   
               
            
              
伊希こそ,昔からあれこれ考える人間のことは分からない。     
             
許可に近いものを貰った私は,遠慮なく家にあがる。         
             
玄関においてあるクワガタ達に,私は半年ぶり……なんて声をかけた。
             
リビングには当たり前に洗濯物が干してあって,中には下着もある。   
            
だけどそれも今更なことで,特になんとも思わずその近くに座った。