恋と旧懐~兎な彼と私~

私は好きな人を前にすると,案外ガードがゆるゆるになるのかもしれない。

ポロっと本音が口をついた。



「私も,星……というか空が好きなの。毎日ちょっとずつ違う,日が落ちるまでの一日の色。慰めてくれるみたいな雨とか,夜の温かい黒のいろ。虹がかかったり大きくなったりする月。そういうの全部,綺麗だなって思う」

「そっか,俺も,同じ」



暁くんが心底嬉しそうに笑うから,私は驚いて,誘ってよかったと思った。

でも,暁くんに言った,それだけじゃないかもしれない。

私もたった今気付いたことだけど。

人の流れに沿って歩きながらする話ではないと思う。

でも,その適当具合が,話すには丁度良い気がした。



「私,ちょいちょい暁くんのクラスいかないじゃんね。それね,私が頭痛で休んでるからなの。ちょっとした病気で,それ以外は大した問題もないんだけど」



一旦止めて,反応をうかがう。

そんなことでって思われてないかなって。

今,恐らく私を深く傷つけられるのは暁くんだけだから。