恋と旧懐~兎な彼と私~

「ちょっと愛深っ! 聞いてよ!」

「あーごめんね。で,どうしたの?」

「俺,好きなひと出来た! 初恋なんだけど」

「「「は?」」」



私以外の3人は,あり得ないものを見たような顔で慧を見つめる。



「え,こいつやばくね?」

「どう思う? 本気で言ってると思う?」

「……はぁ。めんどくさ」



健くんと弘がこそこそと暁くんに近寄ってなにか言うと,暁くんはめんどくさそうにため息をついた。



「愛深,話聞いて! 相談したい」

「えー? まぁ,いいけど」

「なぁ,俺らもいい?」

「なんで? 健達はまだあんま知らないからムリ」



すっごいすっぱり断るなぁ。

私はそんな健達を見守った。



「お前,どうするよ。めっちゃハッキリ断られたぞ。俺ちょっと傷ついた」

「健どんまい」

「知らない。ってか帰る」



すたすたと歩いていく暁くんを,弘と健は子分のように追いかける。