恋と旧懐~兎な彼と私~

「ぉうわ!?」

「え」



暁くん?

ガタッと音がしたかと思うと,暁くんが健くんの首根っこを掴んで後ろに引いていた。



「なっなんだよ」

「……よろしく健」

「そんな挨拶の仕方ある?」

「集会だって,早く行くよ」

「あっ私も」



良く分からないけど,健くん弘にちょっと似てるから相性が良いのかもしれない。

暁くんの列の一番後ろに弘を見つけて,軽く手を振っておいた。

陽菜は残念ながらとても遠い。



「暁くんの後ろ。誰なんだろうね」



自然と目が行くのは,すっからかんのその場所。



「遅刻か欠席か転校生でもくるんじゃねぇ?」



なるほど,と思った。

でも,転校生というのだけは,健くんの冗談のつもりらしかった。