煌びやかなシャンデリア、鮮麗な調度品の数々、高級食材がふんだんに使われた料理に国一番の音楽家たちが集まって作られたオーケストラ。庶民が決して見ることのできない世界だ。

そんな華やかなパーティーの中心に、俺は立っている。立派なタキシードや美しいドレスを着た招待客たちに挨拶をして回り、この美しいパーティーに酔いしれる。人生は金がないと楽しめない。

「仕事もプライベートもこうして充実していて、本当に羨ましい限りですよ」

招待客に次々と褒められ、俺は気分が良くなっていく。社交界から注目を集めると、誰もが俺と話したがるから料理を楽しむ時間すらない。まあ、それに応えてやっている俺は優しい男だな。

「このお料理、とてもおいしいですわ。シェフをぜひお借りしたいくらい」

「奥様のお望みでしたら、いつでもお貸し致しますよ。なんせ、うちのシェフは世界一優秀でどんな料理でも作れますから。きっと、奥様のお望みの料理を用意します」