ばいばいって言えるまで

どうしようも出来ないことだと思っていた。彼に何を言っても変わらないと思っていた。

だけど、本当にそうだったのだろうか。私は歩み寄る努力をしていたのだろうか。寄り添おうとしたのだろうか。


もっと上手く伝える方法があったのでは無いだろうか、歩み寄ってもらえるように伝える方法があったのでは無いかと今思う。

わかってもらいたくて、気付いて欲しくて態度に出してみても伝わらない。

こうなる前に出来ることがきっとあった。そう思ったら涙がまた止まらなくなった。堰を切ったように溢れ出る雫を止めることは出来なかった。



もっと素直になりたかった。
寂しいよって伝えたかった。
ご飯食べようって伝えたかった。
もっと一緒に色々なことしたかった。

もっともっとそばに居たかった。


それだけだった。でもそれが出来なかった。

彼は何を思うのだろう。そう思った時だった。寝室のドアがキィと奇妙な音を立てながら開いた。

驚いたのも束の間、私が寝ていない左側のベッドが沈んだ。