そんなに余裕のない状態で私が話したところで冷静な答えは返ってこないし、冷静な話し合いも出来ない。どうせわかってもらえない。そう思って私は何も言えない。

だけど解決したわけでないから、日々色んな感情が積み重なっていくだけだった。



「もうなんでもいいよ。早く帰ってこなくていいし、好きにして」
「あっそ」


つらかった。苦しかった。そして寂しかった。一緒にいるのに、心はいつも遠かった。物理的に近くても心が遠かったらなんの意味もない。

だけど、怒らせたくないから、迷惑をかけたくないから、私は何も言えなかった。


私は彼にとって邪魔者でしかない。そう思ってから、涙が止まらなくなった。食べないってわかっていても彼が好きなものを作って、バランスを考えて作って、僅かな期待を抱いて彼を待っていた。

もちろん、彼が食べることは無かったけれど。




元に戻りたかった。こんなことになるのなら一緒に住まなければよかった。そういう考えばかりが私を支配していた。彼が帰ってきたらバレないように涙を拭いて、寝たフリをしていた。

誰にも言えなかった。だってわかっていたから。私が相談されたら、「別れな」と言っている。だから言えなかった。