「紗羅ちゃん?」

「あっ、ごめん拓哉君・・・色々と思い出してたの」

でも、拓哉君はどうして私だってわかったんだろう?聞いてみよう。

「ねぇ拓哉君、どうして私だって気付いたの?」

「え?だって、自己紹介の時に気付いたよ。名前で・・・。紗羅ちゃんは気付かなかったみたいだけど」

「うっごめんなさい・・・。私拓哉君の名字まで覚えてなかったの・・・。ごめんね」

「もういいよ。紗羅ちゃんに会えて僕嬉しいんだからさ。それに・・・そのキーホルダー・・・。まだ持っててくれてたんだね」と私のカバンを指差しながら言った。

あっ!!そうだ・・・。このキーホルダー、すっごく気に入ってたから、カバンに付けたんだった。

それすら、忘れてた私って・・・あははっ。

「でも、僕の事覚えててくれてよかった。もう、忘れられてるんじゃないかと思ってたんだ」

「ううん、私にとって忘れられない思い出だったから。ずっと覚えてたよ」

「そっか・・・。僕もずっと忘れられなかったよ。再会出来て本当に嬉しい。運命なんじゃないかと思って」と顔を赤くして言う拓哉君。

う・・・運命?って・・・。

少し前の私なら、運命だよね!!キャー!!っと思ってただろうけど・・・今は、櫂斗の事で頭がいっぱいなんだ。

「でも、すっごく驚いた。まさか、また会えるなんて。思ってもみなかったから」

「うん僕も。そうだ・・・。紗羅ちゃん、今度会った時に伝えたい事があるって言ったの覚えてる?」

あっ!そういえば、拓哉君言ってたよね・・・あの時。

でも、なんなんだろう?って思ってたんだ。

「うん、覚えてるけど。伝えたい事って何?」

「覚えててくれたんだ。嬉しいよ。でも、それはまだ内緒」

「え~っ!!拓哉君ひどいよ~。ねぇ教えて」

「ふふふっ。ダメ、まだ教えてあげない」

「拓哉君のいじわる~」

「あはは。でも、必ず教えるから。ねっ」

「もう・・・わかったよ。ではでは改めて、これからもよろしくね。拓哉君」

「うんこちらこそよろしくね。紗羅ちゃん」