止めたかったけど、自分のために言ってくれてると思って伸ばそうとした手を戻した。



「そう、でしたね。歌桜ちゃん」



わたしと向き合って頭を下げた。



「ウソついて騙そうとしてごめんなさい」



反省を込めた声。

震えてるから、きっと本心だ。

凌玖先輩のことを言われたときとは違う。


わたしには……伝わってきた。



「海紗ちゃんにその気持ちがあるなら……いいよ。怒ってはいないから。それよりもね」



「顔を上げて」と付け加えて、海紗ちゃんの泣きそうになる目と合う。

言葉が届くように優しく言った。



「凌玖先輩と本音で話せるようになったんだ。気づかせてくれてありがとう」