刺さるような寒さが毎日続く二月。
私は誰もいない格技場で、あるひとを待っていた。

放課後なのに柔道部も剣道部も部活動をしていない今日は、週に一度の講習の日で。
私が所属している柔道部は練習が休みで、お隣の剣道部は五時半から練習するらしい。さすが強豪チームは違う。


それでだ、練習のない今日。
なぜ私だけここに来ているかというと。



「真歩?今日練習休みだよな、どうした」


格技場の入口で一度礼をしてから入ってきたのは、柔道部前部長、上野 海先輩。


私は練習が休みの日を選んで、部活をすでに引退している海先輩を呼び出したのだ。

…告白するために。