「もしもし?」

『どうしよう、お父さんが勝手に許嫁決めちゃったよ~』


 この声を聴くに涙声であるので、事実なのだろう

 しかし、もっと気になることがある


「え? だれだれ??」


 相手である

 璃桜ちゃんの相手なのだからそれ相応の相手だろう

 璃桜ちゃんの実家は、有名な家具工房の家だ

 私の家にもいくつか置いてあるくらいで、昔撮影等々で使わせてもらったこともある

 その関係で、同年代の娘がいる工房主さんと、彼女が私の大ファンだということで、現在進行形で仲がいい


花園(はなぞの) 鈴斗(りんと)っていう少し年上の人なの......』

「花園......?」

『聞いたことあるの?』

「うん、偶然かもしれないけど......」

『なになに!』


 耳元で大きな声が響く

 なぜか興奮しているらしい......


「えっと......、私の通っている高校の首席卒業生...、」

『え!? 進学校でも有名な方の高校じゃなかったっけ?」