「桜河くんに、椛ちゃん。おはよう、五分の遅刻よ」


 玄関には般若を背後に抱えているような、藤井さんがいた。


「兄がトイレにこもったんです。」

「おいおい、それを言うなら椛も......」


 兄は少し考えだすが


「ほら、何もないでしょ」


 胸を張って宣言をする
 
 それに、階段で転んだところで一分程度の時間を消費しているしね

 心の中で、また、毒づく

 しかし、藤井さんは甘くない

 私たちに笑っているようで、笑っていない笑顔を向ける

 そして、目の前が暗くなったと思うと、手や足が痛くなる

 それは、いつものように気絶させられたのだと気づいた時には、意識を失った