「う~ん。どうしたら振り向いてくれるのかな?」

僕はいつものように僕の家へと走ってくる大事な女の子を窓から眺めてそう呟やいた。

その子を迎え出るために一階に下り,玄関のドアを開けると,その子は予想通り元気一杯に飛び出してくる。

ふわりと香る柔らかな匂い。

幼なじみの僕の仕事は,出来るだけ動揺を見せないようにすること。

不自然に見えない程度に抱き止めて,彼女を見下ろす。

彼女は満面の笑みで僕を見ていた。

キラキラと輝く真ん丸の目。

そろそろ上目遣いと言う言葉を知って欲しい。

そもそも幼なじみとは言え,この年にもなって,ただの男でしかない僕に抱きつくこと自体が間違っている。

僕は1人音のないため息をついた。