スノー&ドロップス

 学校の帰り道である公園。ちらほらと遊んでいた小学生がいなくなって、私と藤春くんだけになった。
 何年振りかに乗るブランコは、懐かしさと不安が揺れ動いていた。揺れるたび、からっとした生温い風が当たる。

 金の砂がさらさらと流れているような髪。綺麗な横顔をしているから、ふとした瞬間に女の子といる感覚に落ち入ることがある。制服もスカートだから、仕方がないのだけれど。

 白いすだれのようなマツ毛、筋の通った高い鼻。形の良い彼の唇を見て、昨日の鶯くんを思い出す。

「……あの、その、せ、接吻(せっぷん)って……好きじゃなくても出来る行為ですか?」

「えっ、接吻? なに、急に。そんな言い方する人初めてなんだけど」

 藤春くんが、眉をひそめて真顔で引いている。紅潮している頬をさらに赤らめて、私は話を続けた。

「キ……スって言葉にするの、なんか恥ずかしいじゃないですか」

 空気が抜ける音のように〝ス〟はほとんど聞こえない。あとの言葉も視線を伏せながら走り気味だ。

「付き合ってなくても、その、友達でもしたりしますか? それにはどういった意味が含まれるのでしょうか」

「さあね。そんなこと聞いてどうするの?」

 少し不機嫌そうな表情。気に触る話題を振ってしまったのかもしれない。だけど、どうしても知りたかった。