スノー&ドロップス


 助けて……鶯くん!

 ごつごつとした指がヒラヒラした薄い布をくぐった瞬間、右膝から下あたりに衝撃が走った。

「いやぁぁぁぁっ!」

 自分の声量に驚いて瞼を開けると、目の前で股間を押さえ悶えている金髪男子の姿があった。

 何が、起こったの?

「痛ぇぇ……こいつ股蹴(またげ)りかましやがったぁ」

「てんめぇ、ふっざけんじゃねぇぞ!」

 (こぶし)を振り上げられ、私は自由の効かない震える腕を顔の前で構える。

 殺される……!
 目を(つぶ)った瞬間、勢いよく戸が開いた音がした。痛みを感じるはずの体に何もなく、恐る恐る瞼を開く。

「お取り込み中すみませんが、出てってもらえませんか? えっと、野蛮な先輩方」

 色素の薄い髪を揺らしながら現れたのは、藤春雪だった。この状況の中に堂々たる立ち姿で、普段通りの綺麗な顔は崩していない。