スノー&ドロップス

 連休明けの学校は何をするにも手足が重い。鉛を付けたような体は、どっしりとした気怠(けだる)さに襲われる。

 相変わらず、藤春雪は人に囲まれている。その隣にいる人たちが、私に危害を加えているとも知らずに。平然とした綺麗な顔で笑っている。

 友達だなんて、馬鹿らしい言葉。所詮、あの人にとっては呪いを解く手段にしか過ぎないと分かっている。

 ここ何日か、私が避けていることに、薄々気付き始めているかもしれない。今日は一度も声を掛けようとして来なかった。これでいいの。

 六限目の終わりを知らせる音楽が鳴り終わり、生徒たちが騒つき始める。社会科の先生に名前を呼ばれて、教卓へ手招きされた。

「あの……悪いんだが、また資料室の整理をお願い出来るかい?」

 無言のままコクリと頷くと、気弱そうな先生は安堵したように教室を出て行った。

 あの人は、私と少し似ている。はきはき話せない。
生徒にする頼み事てすら顔色を伺って、私のような大人しい人間にしか言えないところとか。

 図書部へ行く前に、人気の少ない廊下を歩いて社会科資料室へ向かう。藤春雪に話しかけられなかったと同時に、嫌がらせもされなかった。不気味なくらい平穏な日常だった。

 このまま収まってくれたら、ありがたいけど。