唇が離れた後は、みんな頬を桜のように染めて視線を背ける。一緒の反応、同じ顔。喜ばない子なんて、いなかった。
「わたし、女だし……先輩のこと好きじゃないのに。こんな事して嬉しいですか?」
「男とか女とか、関係ないの。私は好きなんだから幸せよ。一瞬でも、夢見れるじゃない。ありがとう、さよなら」
小走りで去っていく先輩の後ろ姿は、何度も見た光景を蘇らせた。喜んでいるなら、別にいいか。嫌われるより、避けられるよりいい。
でもいつか俺の正体を知ったら、みんな離れて行く。
俺は誰かを好きになった事がない。生まれてこの方、一度もだ。
親戚から呪われた赤ん坊だと罵られ、女として生きるしか道はなかった。
だけど、俺の心は男だ。中学生になって、自分は何者なのかと問うようになった。
男子特有のモノは付いているのに、どこかしら他の人とは違う。男子から色目に見られることが苦痛になって、この頃から僕と言っていた一人称は俺へと変化した。
偽らなくていい時は、言い聞かせるように使っている。自分を見失わないためにも。
「わたし、女だし……先輩のこと好きじゃないのに。こんな事して嬉しいですか?」
「男とか女とか、関係ないの。私は好きなんだから幸せよ。一瞬でも、夢見れるじゃない。ありがとう、さよなら」
小走りで去っていく先輩の後ろ姿は、何度も見た光景を蘇らせた。喜んでいるなら、別にいいか。嫌われるより、避けられるよりいい。
でもいつか俺の正体を知ったら、みんな離れて行く。
俺は誰かを好きになった事がない。生まれてこの方、一度もだ。
親戚から呪われた赤ん坊だと罵られ、女として生きるしか道はなかった。
だけど、俺の心は男だ。中学生になって、自分は何者なのかと問うようになった。
男子特有のモノは付いているのに、どこかしら他の人とは違う。男子から色目に見られることが苦痛になって、この頃から僕と言っていた一人称は俺へと変化した。
偽らなくていい時は、言い聞かせるように使っている。自分を見失わないためにも。



