スノー&ドロップス

「呪いを解くために協力してくれるんなら、俺も探してあげる」


 意味が分からないと言いたげな表情。

 そっと耳元へ近付くと、彼女の肩が少しすくんだ。


「青砥さんが、自由になるための鍵」


 鉄の鳥籠に閉じ込められている君を、いつか解放してあげる。

 囁きを聞き終えると、青砥さんは赤くなった耳を押さえてうずくまった。


「……ほんとは、少し、嬉しかった」

 震える声を振り絞るように。


「ともだち……って響きに、憧れてたから」


 ーー誰かに必要とされることなんて、今まで一度もなかった。
 でも、鶯くんとの約束を破ることになるから……。

 開きかけた彼女の心は、また閉ざそうとしている。

 目の前で怯える肩に手を伸ばしかけて、引っ込めた。


 人は不思議な生き物だ。意識して見なければ見えないものがたくさんある。

 ただのクラスメイトが、突然違う光を放ち出したり。信じているものに、ほんとは裏切られていたり。

 机に身を乗り出すと、長い髪が肩から流れ落ちて。彼女を覗き込む瞳は、何かに引き寄せられているようだ。


「俺のこと好きになってよ」

 距離が近付いて唇が触れそうになる。彼女の肌の熱気を感じるくらい。

 でも見事にかわされた。やめてと眉を釣り上げて、必死の抵抗で目が露わになっているとも知らずに。


「こ、こうゆうこと……女子なら誰でも喜ぶと思わないで下さい」


 ずっと小声でもたついた口調だったくせに、最後だけはっきりと言い切る感じ。気に食わないなぁ。