スノー&ドロップス

「いいわけねぇだろ。さっさと失せろ、このオトコオンナが! って思った?」

『そこまでは』

 このスマホ談話を貫き通すつもりらしい。だから、青砥さんの手を掴んで阻止する。

「今は無理して隠す必要ないんじゃない? 俺らしかいないんだから」

 彼女は否定も肯定もしない。何に怯えているのか、その唇は震えていた。

 ためらいながら、青砥さんはおもむろにゴーグルのような眼鏡を外す。改めて見ると、よく生活出来ていると感心するくらい分厚いレンズ。休憩中まで武装なんてしていられないだろうな。

『目、見ないで下さい』

 目隠しの柵みたいな前髪が彼女の瞳を守っている。決して壊すことの出来ない壁のように。

「人は身にまとうオーラによって幸福度が変わってくるんだよ。不幸にもなれば幸せにもなれる」

 艶やかな前髪、しっとりした白い肌に触れても視線は下向きのまま。ピンで止めようと思っていた髪がシルクのように流れ落ちていく。

 鳥籠を解放したのに飛び立とうとしない。まるで君は支配された人形みたいだ。