スノー&ドロップス

 暗い雨の夕闇に包まれ、街に明かりが灯る時分。夕御飯を食べ終えた私は、二度目のシャワーを浴びた。

 病で寝ていた時は、必要に体を洗いたくなる。身を清める感覚と似ているのかもしれない。

 吸い付くような泡と一緒に、大きな溜息も流して。


 ーー変な兄妹、か。

 ぽちゃんと湯船に肩まで浸かり、もう一度息を吐く。

 たしかに、私たちは他の家族とは違うかもしれない。

 心の支えが鶯くんだっただけ。好きになった人が兄と呼ぶ存在だっただけなのに。

 彼がいなければ、私は立っている事もままならなかった。認めて欲しくて、抱きしめられると胸が狭まる。

 それでも人は、私たちを異常と呼ぶんだろうか。


『お互いに秘密は守ろうね』

 頬に触れた初めての感触。嫌なことを思い出した。


「……友達……なれるわけない」

 もう一度、パシャリと顔を洗い流して、ため息を吐いた。

 男子に触られたなんて、しかもキスされたなんて。


 ーー死んでも、鶯くんに知られてはならない。