スノー&ドロップス

 ほどよく混み合ったプラザの映画館でチケットを買う。上映までに余裕があるため、前にあるカフェで時間を潰すことにした。

 梅雨のじめじめを吹き飛ばす〝キウイヨーグルトフラペチーノ〟が人気らしい。茉礼はそれを、僕は無難にカフェオレを頼んだ。

 レンガ調の壁。観葉植物が並ぶ洒落た空間で向かい合わせに座る彼女は新鮮に映った。

 いつもの食卓にいるような格好が地味で不釣り合い過ぎて、隣のカップルから内緒話の対象にされている。例え一人でいたとしても、誰からも声なんて掛けてもらえない。

 ……ああ、かわいそうな茉礼。
 だから、この世界には僕しか味方がいないと思い知ってくれ。


 ちらちらと周りを気にしている。この十秒間で瞬きを十二回、ストローを加え直した回数は三回。慣れていないからなのか、もしくは……。

「茉礼、どうかした?」

「あ、あのね……ちょっと、聞きたいことがあって」

「うん、何?」

「鶯くんって、その……友達いる?」

 目を開けたまま硬直しかけて、カフェオレを飲み込むタイミングが分からなくなった。彼女の口から、もう何年も聞いていない単語。