スノー&ドロップス

 ああいう人たちは、小学生の頃に習った道徳の授業を昼寝時間だと思ってたのかな。

『このこと、誰にも言ってないから。みんなには内緒にしててね』

 あれって、ほんとの話なのかな。ただ、からかわれただけ? どちらにしても、私には関係ない。

 前を確認しながら、一段ずつ階段を上っていると、腕の重みがなくなって急に視界が良好になった。

「これ、資料室?」

 気付くと他の女子たちはいなくなっていて、戻ってきた藤春さんが資料を持っていた。

 ……どうしよう。
 一人で行けるって、言わないと。

「……あの」

 音にもならないらほどの声を出すけど、自分ですら聞こえない。
 そうしているうちに、藤春さんはさっさと行ってしまったから、仕方なく後ろをついていくしかない。

 社会科資料室へ入って、頼まれていた資料の整理まで手伝ってくれた。

 美人でみんなから好かれていて、おまけに性格も良いなんて、やっぱり人間は不平等だ。

 そんな捻くれた思いを持ちつつ、さすがにお礼を言った方がいいことくらい分かっている。

 でも、人と話さない約束を破ることになるから。


『ありがとうございました』

 入力したスマホ画面を彼女へ向けた。これは、脳内会議をした末の結論。