スノー&ドロップス

「ごめん」

 もう一度つぶやいて、頭を優しく撫でる。泣いているような声は、今にも消えてしまいそうだ。

「……鶯くん?」

 さらさらと髪が頬をくすぐる。同じシャンプーの匂いがして、胸の奥がギュッと苦しくなる。

 藤春くんの時とは少し違う。恋焦がれる愛おしさではなくて、これはーー。


「茉礼、どこ見てる? 頼むから、僕だけを見てて。どこへも行かないで」

 声を震わせながら、覆い被さったままの鶯くんが私を抱きしめる。まるで、小さな子どもが姉にしがみついているみたいだ。

 もしかして、昔のことを思い出しているの?
 私か彼のすべてになれたら、救われるの?
 どうしたらいいのか。考えても答えは出ない。

 ただ、私に今できることは、こうして背中をさすってあげることだけ。