スノー&ドロップス

 すんとした態度で、藤春さんが前へ出た。
 その生意気な顔が気に入らないと言いたげに、私から手を離して。

「おまえ、可愛いからってあんま調子乗んなよ?」

「この状況わかってんのか?」

 苛立ちを見せる上級生たちが、彼女の長い髪を引っ張った。藤春さんが、痛そうに顔を歪めている。

 どうしよう。助けて……、鶯くん!

 地面にしゃがみ込んで、薄っすら浮かび上がる涙を手の甲で拭ったとき。ドスンッという鈍い音と、人が倒れ込むのが視界に入った。

 ……えっ?

 続けて、私を掴んでいた上級生もあっという間に背負い投げされる。
 なにが起こったのかと、呆然としているところに、パンパンと手を叩く音。ふぅとすっきりした顔をした藤春さんが、スカートの土を払いながら。

「調子乗ってんのはテメェらだろうが。いい加減キモいんだよ。このカス」

 絵のようにキレイな顔で、気絶している上級生を睨みつけた。

 えっ、これが、あの品ある美少女と言われている藤春雪なの? 年上の男子相手に、怯みもせず一撃で。