大切な家族であり、唯一の心の支えだった鶯くんを、一人にするわけにはいかない。
「それでいいよ。ただ、知っておいてほしかっただけ。どうせ死ぬなら、後悔したくないし」
近すぎる心臓の音が、花火のように響いている。
もしも、藤春くんが、本当に十七歳まで生きられないとしたら。
私はこの選択に、悔いはないのか。
何も言わないまま、終わってしまっていいのか。
「……私も、藤春くんのことは……好き、です」
「え、」
「で、でも、それは、友達としてです」
ーー最低だ。
鶯くんと離れられないと言いながら、藤春くんを突き放すことさえできない。
抱きしめる腕が強まって、藤春くんの匂いでいっぱいになる。
「……不意打ち、ずる。でも嬉しい」
少しでも振り向けば、目と目が合って唇が触れそうな距離。緊張で石になったみたいに、動けない。
あと五秒だけ。三秒でもいいから、時間が止まってくれたらいいのに。
見られている気配を感じて、ハッと埋まる顔を上げると。
「見つけた」
目線の先に、黒の甚平があった。さっきまで一緒に歩いていた、見覚えのある模様。
「おう……くん? こ、これは……」
いつからいたのだろう。慌てて藤春くんから離れるけど、あとの祭り。どんな言い訳をしたところで、決定的場面を見られてしまった。
けれど、なにか言わなければと、頭の中を模索して言葉を出そうとする。
「あ、あのね」
「茉礼、キスして」
「それでいいよ。ただ、知っておいてほしかっただけ。どうせ死ぬなら、後悔したくないし」
近すぎる心臓の音が、花火のように響いている。
もしも、藤春くんが、本当に十七歳まで生きられないとしたら。
私はこの選択に、悔いはないのか。
何も言わないまま、終わってしまっていいのか。
「……私も、藤春くんのことは……好き、です」
「え、」
「で、でも、それは、友達としてです」
ーー最低だ。
鶯くんと離れられないと言いながら、藤春くんを突き放すことさえできない。
抱きしめる腕が強まって、藤春くんの匂いでいっぱいになる。
「……不意打ち、ずる。でも嬉しい」
少しでも振り向けば、目と目が合って唇が触れそうな距離。緊張で石になったみたいに、動けない。
あと五秒だけ。三秒でもいいから、時間が止まってくれたらいいのに。
見られている気配を感じて、ハッと埋まる顔を上げると。
「見つけた」
目線の先に、黒の甚平があった。さっきまで一緒に歩いていた、見覚えのある模様。
「おう……くん? こ、これは……」
いつからいたのだろう。慌てて藤春くんから離れるけど、あとの祭り。どんな言い訳をしたところで、決定的場面を見られてしまった。
けれど、なにか言わなければと、頭の中を模索して言葉を出そうとする。
「あ、あのね」
「茉礼、キスして」



