スノー&ドロップス

「……いえ」

『三嶋さんたちから、青砥さんも休んでるってメッセージ来てたから』

 地味な座敷童子の私が、クラスの話題に上がるなんて珍しい。いてもいなくても、彼女たちに支障はないだろうに。
 なにも答えないでいると、藤春くんが続けて。

『風邪って、嘘でしょ』

 神妙な声だったから、ごくりと喉が鳴った。どう答えるべきなのか、言葉を探していると。

『……あれから、大丈夫だった? 学校行ってないの、なんか関係してる?』

 鶯くんの本性はとうにバレているのに、認めることができず。

「ほんとに……風邪で。心配かけて、すみません。私は……変わりないです」

 偽りの答えを重ねていく。
 藤春くんを巻き込んでしまった罪悪感と、まやかしの友達であることへの抵抗と。
 ここに閉じこもって、鶯くんという殻を破ろうとしなければ、これほどの苦しい思いを知らずに済んだのかもしれない。

『……俺もいろいろあって、今日まで休んでたんだ。明日の終業式は行くよ。青砥さんは?』

「……わからない」

 どうして休んだの。病気だったのか、また呪いが進行しているんじゃないか。
 聞きたいことはたくさんあるけど、重い唇が開くことはない。

『来てよ。絶対』