ひりりとする手首は赤くなって、手錠で擦れた線が浮き上がっている。
こんなはずでは、なかった。どこで間違えてしまったのだろう。義兄である鶯くんへ恋心を抱いたことが、そもそもいけなかったのか。
レースのカーテン越しに見える空が暗くなる頃。静かにドアが開いて、鶯くんが目の前にしゃがみ込む。
「気分はどう?」だなんて、涼しげな表情で言って退けて。月灯りに照らされなくても、この表情は見てとれるだろう。少し身が震えた。
何も答えないでいると、鶯くんは手錠の鍵を開けて傷付いた手首を掴む。ぐっと力を入れる。顔が歪むほどの強さで。
「……っあ、痛い」
出来る限り声を我慢したから、弱々しく泣く蝉のような音だけが出た。
これは鶯くんじゃない。今を乗り切れば、悪い夢から覚める。そう心の中で唱え続けて。
「泣いてよ」
「……え?」
「僕に縋り付いて。昔みたいに助けてって。鶯くんしか要らないから、守ってって言いなよ」
「なに……言ってるの?」
「茉礼を守ってあげられるのは、僕だけなんだから」
あの時と同じだ。いじめられていた私を助けてくれて、約束を交わした時と同じ闇のような目をしている。
こんなはずでは、なかった。どこで間違えてしまったのだろう。義兄である鶯くんへ恋心を抱いたことが、そもそもいけなかったのか。
レースのカーテン越しに見える空が暗くなる頃。静かにドアが開いて、鶯くんが目の前にしゃがみ込む。
「気分はどう?」だなんて、涼しげな表情で言って退けて。月灯りに照らされなくても、この表情は見てとれるだろう。少し身が震えた。
何も答えないでいると、鶯くんは手錠の鍵を開けて傷付いた手首を掴む。ぐっと力を入れる。顔が歪むほどの強さで。
「……っあ、痛い」
出来る限り声を我慢したから、弱々しく泣く蝉のような音だけが出た。
これは鶯くんじゃない。今を乗り切れば、悪い夢から覚める。そう心の中で唱え続けて。
「泣いてよ」
「……え?」
「僕に縋り付いて。昔みたいに助けてって。鶯くんしか要らないから、守ってって言いなよ」
「なに……言ってるの?」
「茉礼を守ってあげられるのは、僕だけなんだから」
あの時と同じだ。いじめられていた私を助けてくれて、約束を交わした時と同じ闇のような目をしている。



