スノー&ドロップス

 スカートのポケットで、ブブッとスマホが震えた。一度きりで止まったから、おそらくメッセージだ。
 手を伸ばしたとたん、ポロンポロンと音が鳴り出す。

 なに……これ?
 尋常じゃないくらいのスピードで、なにかが送信されている。初めて聞く効果音の連続に、体がすくむ。

「すごい連投じゃん。とりあえず、見た方がいいんじゃない」

 続きはあとで話すからと、藤春くんに促された。この状況では、お互い話しどころではない。
 私にメッセージを送るなんて、家族くらいしかいないけど、何があったの……。
 スマホを取り出すと、カメラモードになっていた。ポケットの中で起動してしまうことがたまにある。

『無断早退したってほんと?』
『家にいないみたいだけど』
『今どこ?』
『茉礼、返事して』
『大丈夫か?』

 おびただしい数の文字は、すべて鶯くんからだ。確認している最中でも、メッセージは更新されていく。
 文章を打とうにも、指が震えて上手くできない。

「ど、どうしたらいいの。なにか、返事しないと……」

 こんなに焦っている鶯くんは、見たことがない。
 きっと、怒っている。無断で早退したことも、家にいないことも。
 心配かけて、勉強の妨げになることをしてしまった罪悪感から、呼吸が荒くなってきた。

 怖い。噛まれる。見放される。軽蔑される。なにもかも、終わり。

 貸してとスマホを奪って、藤春くんが落ち着いた手つきで操作する。