鶯くん以外の人と、間接的であれ唇を重ねた。背徳感に押しつぶされそうなのに、心臓の高鳴りは止まらない。
ありがとうと返した手ごと、ペットボトルは再び藤春くんの口へ運ばれた。
虫の声と、葉の擦れる音と、水を飲む息づかいだけが聞こえている。
さらりと風になびく白い髪が、私の顔に触れた。
「このまま、二人でどっか行っちゃおうか。もっと遠くの知らないどこか。学校も家族も、ぜんぶ忘れて」
見つめられて動けなくなる。
息をするタイミングが、わからない。
「……ふたり……で? 鶯くんを……忘れて?」
なんと答えるのが正解なんだろう。
『また変なこと言って、からかってるの?』『ごめんなさい。できません』『もし、そうしたら……』最後の選択を出しきる前に、あわててその思考をかき消した。
私は何を考えているの。ありえない。鶯くんを忘れて、藤春くんについて行くなんて……。
ほてった頬に、冷たい手のひらが触れる。風でまとわりついた髪を退けながら、藤春くんが小さく口を開いた。
「俺、青砥さんのこと……」
ありがとうと返した手ごと、ペットボトルは再び藤春くんの口へ運ばれた。
虫の声と、葉の擦れる音と、水を飲む息づかいだけが聞こえている。
さらりと風になびく白い髪が、私の顔に触れた。
「このまま、二人でどっか行っちゃおうか。もっと遠くの知らないどこか。学校も家族も、ぜんぶ忘れて」
見つめられて動けなくなる。
息をするタイミングが、わからない。
「……ふたり……で? 鶯くんを……忘れて?」
なんと答えるのが正解なんだろう。
『また変なこと言って、からかってるの?』『ごめんなさい。できません』『もし、そうしたら……』最後の選択を出しきる前に、あわててその思考をかき消した。
私は何を考えているの。ありえない。鶯くんを忘れて、藤春くんについて行くなんて……。
ほてった頬に、冷たい手のひらが触れる。風でまとわりついた髪を退けながら、藤春くんが小さく口を開いた。
「俺、青砥さんのこと……」



