「僕のこと嫌いになったりしないの?」
「なるわけない。ずっと、好き……だよ」
「それは、僕が兄っていう立場だから……」
ーーずっと、好きだよ。
脳内に再生される幼子の声。八重歯を見せて僕に笑いかける少女の顔。
「鶯くんは、鶯くんだよ。家族だからじゃない」
ーー鶯ちゃんは、鶯ちゃんだよ! 幼馴染みだからじゃないよ。
茉礼の言葉に重なって蘇る遠い記憶。頭のどこかに封印したはずの絶望を見たあの日が、鮮明になって無意識に引き出される。
やめてくれ、と心に叫ぶ僕を差し置いて。
アパートの隣に住んでいた凛名とは、物心がついた頃から一緒にいた。敷地内の遊具にひとり放置されていた僕の手を引いてくれたのが、彼女との出会いだった。
同じ幼稚園に入園し、彼女の家に行くことも増えた。凛名の母親は大人しく温厚な人で、五歳で母が蒸発した僕のことを度々気にかけてくれていた。
「なるわけない。ずっと、好き……だよ」
「それは、僕が兄っていう立場だから……」
ーーずっと、好きだよ。
脳内に再生される幼子の声。八重歯を見せて僕に笑いかける少女の顔。
「鶯くんは、鶯くんだよ。家族だからじゃない」
ーー鶯ちゃんは、鶯ちゃんだよ! 幼馴染みだからじゃないよ。
茉礼の言葉に重なって蘇る遠い記憶。頭のどこかに封印したはずの絶望を見たあの日が、鮮明になって無意識に引き出される。
やめてくれ、と心に叫ぶ僕を差し置いて。
アパートの隣に住んでいた凛名とは、物心がついた頃から一緒にいた。敷地内の遊具にひとり放置されていた僕の手を引いてくれたのが、彼女との出会いだった。
同じ幼稚園に入園し、彼女の家に行くことも増えた。凛名の母親は大人しく温厚な人で、五歳で母が蒸発した僕のことを度々気にかけてくれていた。



