隣の部屋から偶然出てきた茉礼と鉢合わせた。幸か不幸かのタイミングだ。
とても気まずそうに僕を見てから日比谷に会釈をして、一瞬だけ視線を戻してから逃げるように走り去って行く。心なしか頬に淡い紅色が広がり、かげりのある瞳は長いまつ毛の奥に揺れていた。
わざと日比谷を連れて来たことで、鬼が出るか蛇が出るか。もう姿の見えない壁を見ながら、日比谷は放心とした目をしている。
「今の子って」
「……妹」
「そっか。鶯祐、妹いたね。でも、全然似てないって噂だったよ。中学の時」
そうかと、適当な返事をする。
わざわざ血縁関係がないと話す必要性はない。彼女には関係ないことだ。
いつまでも廊下に立ち尽くす日比谷に、少しばかり違和感を感じた。
「もう帰るんじゃないのか?」
「帰るわよ。だから、玄関の前まで見送って」
「……なんで?」
「それくらいしなさいよ。私のファーストキス奪ったんだから」
「あれは事故みたいなもんだ。カウントに入れなくていい」
ぷんっとした態度で階段を降りていく彼女。その後ろを歩きながら、小さくため息がこぼれる。
とても気まずそうに僕を見てから日比谷に会釈をして、一瞬だけ視線を戻してから逃げるように走り去って行く。心なしか頬に淡い紅色が広がり、かげりのある瞳は長いまつ毛の奥に揺れていた。
わざと日比谷を連れて来たことで、鬼が出るか蛇が出るか。もう姿の見えない壁を見ながら、日比谷は放心とした目をしている。
「今の子って」
「……妹」
「そっか。鶯祐、妹いたね。でも、全然似てないって噂だったよ。中学の時」
そうかと、適当な返事をする。
わざわざ血縁関係がないと話す必要性はない。彼女には関係ないことだ。
いつまでも廊下に立ち尽くす日比谷に、少しばかり違和感を感じた。
「もう帰るんじゃないのか?」
「帰るわよ。だから、玄関の前まで見送って」
「……なんで?」
「それくらいしなさいよ。私のファーストキス奪ったんだから」
「あれは事故みたいなもんだ。カウントに入れなくていい」
ぷんっとした態度で階段を降りていく彼女。その後ろを歩きながら、小さくため息がこぼれる。



