スノー&ドロップス

 ノースリーブの細かなディテールと、優しいラインの切り替えプリーツスカート。淡いグレーとラベンダーがガーリーな中に、落ち着いた印象を持たせている。

 それを目にした瞬間、私の何かが弾けた気がした。思わず伸ばし掛けた手を止めるけど、すぐに隣から出てきた指がワンピースを手にする。

「直感でピンと来たものは、その服が身につけてって訴えてるんだ。たまには、気分転換に新しいものを求めてもいいんじゃない?」

「気分……転換」

「くすみカラーの中に可愛らしさのある色。それ、青砥さんにすごく似合ってるよ」

 お世辞などでなく、心からの言葉に聞こえた。
 その一言がきっかけだったかは分からない。持っていない色味に惹かれ、私は初めてワンピースを購入した。衝動的にというより、ほしいという自分の意思があった。

 何かを変えなければ、今の状況は変わらない。もう昔のままではいられない。
 もっと自分というものを見つけ出すことが出来たら、鶯くんとの関係も変えられるんじゃないかって。

 着て帰ると定員さんに伝えて、戸惑うわたしを藤春くんが試着室へ押し込んできた。
 しぶしぶ着替えながら、姿見に映る自分を見て、恥ずかしくなってくる。

「……なんだか落ち着かないです。ひざ小僧が見えているし、やっぱりパーカーとジーンズが安心するというか」

 試着室のカーテンから、顔だけをのぞかせる。似合っていない気がして、笑われるのではないかと怖くなった。