スノー&ドロップス

「遅がけの衣替えだよ」

「なぜ……ですか? 今日は、藤春くんの服を探しに来たんじゃ……」

 わざとらしいため息をつき、藤春くんが服を交互に合わせて。

「そっちは後まわし。こっちが本命。青砥さん、全然センスわかってないから。自分に合うの教えてあげる」

 ああでもないこうでもないと、独り言のようにぶつぶつと話す藤春くんの目は、試合でもしているように真剣。

 流行りなんて知るわけもなく、いつもさえない洋服ばかり。可愛らしい格好に、憧れなかったわけじゃない。
 オシャレをしてみたいと、頭をかすめたことくらいある。それは、望んではいけないことだと言い聞かせてきた。

 誰も私のことなど見ていない。美しさなど必要ないと、切り捨ててきたけどーー。


 私のために、無条件で考えてくれる人がいる。胸の奥をギュッと掴まれたみたいに温かくなって、少しは自信を持っていいのだと思えた。

 こんな私でも、友達と呼べる存在を持っていいんだ。