パン職人の店長を、好きになりました。



《彩愛side》


「彩愛、またそこのパン? パン好きだね」

「うん、ここのパン大好きなの」

「で、店長もかっこいいと」


 昼休みは学校の中庭で友達の優奈(ゆうな)と過ごすのが高校入学当時からの定番の場所。唯一静かで落ち着いて過ごせる場所だ。

 そして、私のお昼はほとんどパン。その逆に、彼女のお弁当はおにぎりオンリーだ。


「優奈は今日も家のおにぎり?」

「うん、そうだよー。まあ、おにぎり好きだしいいんだけど」


 優奈はおかかおにぎりをかぶりつき、お茶を一口飲むと口を開いた。


「……そうだ! 彩愛ってあの先輩に告白されたよね」


 あー……そういえば、そうだった。

 私、何故か三年の森田(もりた)先輩に先週、手紙を渡されたんだった。返事、してないな……。