《庵side》
『─︎─︎店長が好きですっ』
二週間ほど前、俺は恋心を抱いていた彼女に告白された。しっかりと蓋をしていたはずなのに、溢れるかのように漏れ出ているようだ。
彼女が高校のテスト週間だからと来なくなったと同時に来るようになったのはあの日彼女の前で『元婚約者』と暴露した菜桜だ。
「ねえ、庵? 私たちもう一度付き合わない?」
「……君と付き合うことはないよ」
菜桜とは、俺が会社勤めをしていた当時出会い婚約もした女性だ。だが、俺が海外支店へ一ヶ月の出張で日本にいなかった短期間に浮気をしていた……運命の相手、なんだと息巻いていたのはなんだったんだろうか。喜んで婚約破棄の慰謝料を払っていたというのに。
俺はもう、こいつの顔も見たくないし声だって聞きたくなかった。
「“運命の相手”はどうしたんだ」
「ああ……あんなのとは別れたわよ、やっぱりあなたがいいなと思って会社に行ったらやめたって聞いて驚いたわ」
あんなのってなんだよ。あんなののために俺は傷付いて辞めることになったのか……?



