「毎日見てるわけじゃないんだ……っただ、目で追ってしまうというか……なんというか」
「そうなんですか……先輩の言う通りですよ。私好きな人がいます」
「告白は、しないの?」
「告白……以前、好きだってぶっちゃけてしまって……あれからまともに話すらできてないんです」
私、なんでさっき告白してきた相手にこんなことを言ってるんだろう。
「じゃあ、まだ始まったばかりじゃない?」
「……?」
「まずは想いを伝える、それが一番大事だよ。言わなきゃいつまで経っても、現状維持か見ているだけの存在なんだし……清水さんの恋は今、スタートを切ったところじゃないかな?」
「そうですか?」
先輩は「そうだよ」と言い微笑んだ。
「……まあ、俺も同じだから覚悟してね」
「はい……ふふ」
「清水さんも頑張って」
私の頭を撫でると先輩は先に帰った。だけど、私の“好き”は叶わないと思う……だってあの女性と比べたら私みたいな子ども相手にはしてもらえないってわかるから。
私は、ある決心をしてパン屋へ向かった。



