「だからね、清水彩愛さんっ」
「っ! はい」
「いきなり付き合ってなんて言わないけど、友達から始めませんか」
友達……? 想像してみようとしたけど、無理だ。私が先輩と隣で話している未来なんて想像できないんだもの。
「先輩、ありがとうございます。でも……私、無理です」
「……っ……」
「ごめんなさいっ、先輩の気持ちにはお答えできません」
私はそう言って中庭から去ろうと歩き出そうとした時、彼は「待って」と引き止められた。
「清水さんは……好きな人がいるの?」
「えっ! なんでですか」
「……だって、毎日楽しくてたまらないって顔してる。だけど最近はボーッとしてるね。いつも食べてるパンは持ってきてないし」
え……何で知ってるの!? 私がパン食べてるなんて……同じパンって。一緒に食べたことないのに……。



