「関係あるでしょう、元とはいえ……婚約していた仲じゃない」
「……え?」
思わず声を出してしまった私は口を押さえた。だけど、ここにいるのが気まずくなり「私、追加のパン持ってきますね」と言い厨房へと入った。
「……お似合いだった、な」
私なんてガキだ……しかも元婚約者で、すっごく綺麗で、大人な女性。私じゃ到底敵わない。敵う相手じゃない……。
私はため息を溢し、追加パンを店内に持っていくともう女性はいなくなっていて時計を見ると、もう閉店時間だ。
「彩愛ちゃん、ごめん」
「なんで謝るんですか? ……綺麗な女性ですね」
「……っ……」
「私……好きです。やっぱり私、店長が好きです。店長のこと笑顔にしたいですっ」
……私は何を言ってるんだ。もう、バカ。
「彩愛ちゃん、え? 待って……」
「だから、そんな顔しないでください……っ」
今更ながら顔が熱くなって、絶対真っ赤になってるだろう顔を隠すようにモップで床を掃除を始めた。その後は、気まづいまま帰路に着いたけど……すごく私、子供っぽかったよね。
それからまともに話すことができないまま日は経過しタイミングがいいのかテスト週間に入ってしまったことで……二週間はスマホは触らず勉強をしていたためほとんど話すことはなく過ぎていった。



