私には弟子がいる。
それも7人。
『弟子』と言ってもみんな私と同じ、中学二年生だ。
最初は師匠と呼ばれることに慣れなくてやめてほしいと言った。
名前呼びで良いと。
だけどみんなは引かなかった。
「俺達の欠点を笑わず受け入れてくれた、だからあんたは俺達の師匠だ」
「僕達は君に救われたの。師匠と呼ぶのは当然でしょ?」
そんなことを言われて嬉しくないと思う人なんていない。
少なくとも私は嬉しかった。
みんなといる時間は本当に楽しい。
気兼ねなく話せる雄一の友達でもあったから。
でもそんな楽しい時間は突然無くなってしまった。
親が海外に転勤することになってしまったのだ。
急に決まったことだったので、荷物をまとめたりご近所の人に挨拶したりと、やることが多くみんなに会いに行くことができなくなった。
最後くらいはみんなに会いたいとギリギリまで粘ってみたが、飛行機の時間が迫っているからと断られてしまった。
その時のお母さんとお父さんは終始申し訳なさそうに「ごめんね」「ごめんね」と言い続けた。
そんな両親を見ていてなお、粘るほど私はわがままじゃない。
結局、海外のことを伝えられないまま、日本から旅立ってしまった。