聖夜のおとぎ話





毎年イルミネーションを見ながら、これは何色って言うのかな…なんて考えたり。






でも、違ったみたい。





色の種類とか、そういうのじゃなくて、気持ちだったのかも。






最初に来た時は、初めて真夜中に外に出たワクワクがイルミネーションと重なった。






それが当たり前になっても綺麗に見えたのは、毎年小麦が隣にいたから。






だから、今は綺麗じゃないんでしょ?






「冬侑」




「サンタさんだもんね、しょうがない。謝ることなんて無いよ、小麦が頑張って見習い卒業したんだから」





「そうじゃなくて。冬侑、こっち向いて」





「ごめんね小麦、私そろそろ行かないとだ」






ベンチから立ち上がって、三歩進んでからくるりと小麦の方を向いた。






暗闇できっと私の顔は見えない。






私も小麦がどんな顔をしているのか、分からなかった。