「もう終わりかあ…」




「ふゆう、来年も待ってる。色んな話聞かせて」




「!…うん、楽しみ!また来年ね!」






毎年、24日の真夜中、もみの木の裏で小麦とたくさん話をした。





大きくなるにつれて、公園にいられる時間も長くなっていって。





私は家から抜け出すのが得意になった。





「こむぎは“小麦”って書くんだね。真っ白で綺麗で、柔らかいとこ、小麦にぴったり」




「初めて言われた」





声を出して笑うような人じゃない。むしろ、口角が上がったのをほとんど見たことがない。





上がるとすれば、私に意地悪を言う時。




ひねくれた性格なのも知っている。





だけど、





会う度に大人に近づいていく小麦に惹かれていったのは必然だと思う。