「おはよう、怜!」

「おはよ」

「今日もあっついね~!」

「夏だからな」

別に待ち合わせなんかしてないのに同じ時間に家を出て、そのまま一緒に学校へ向かう。

結華の昨日見たテレビの話や、今欲しいバッグの話を聞きながら。それに俺はへぇーとかうんとか、そうなんだーって返しながら。

学校に着くと結華の派手な仲間たちが寄って来た。

「結華おはよー」

ぞろぞろと3人、いつも結華とつるんでる。スカートの短さ競ってるみたいなグループだ。

「またひゅーがのと一緒に来たの?」

「超仲良いじゃんねー」

「幼馴染みだっけ?」

何度聞いたことか。こうして2人でいるだけで良からぬ噂を立てられる。

もう聞くことさえ煩わしいなと思いながら下駄箱でスニーカーから上履きに変えた。

「いい加減付き合っちゃえばいいのに」

ただ隣にいるだけでこんな風に言われるんだ。本当うざった… 

「あ、そうなの!あたしたち付き合い始めたの!」
 
「「「えーーーーー!?」」」

キーンとなるような声が木霊した。ビクッとなって上履きを落としそうになった。 

あ、そうか。 
俺ら本当に付き合ってんのか。

昨日の帰りからずっと今日の朝もいつも通り過ぎて忘れてたわ、俺らの日常はナチュラルに一緒にいることが多いから。

そーいえば昨日そんな話した。




キスするために。