双子の相方、大志とは昔から同じものが好きで毎回取り合いになった。

とーちゃんが買ってきた服だったり、ねぇーちゃんがくれたお菓子だったり、にーちゃんの持ってたおもちゃだったり。

そのたびにケンカするもんだからいつしか2つ用意され、ひとつづつ与えられるようになった。


「ねぇ奏志、プリン1コしかないよ」


まだ小学校へ上がる前、冷蔵庫を開けた大志が俺に言ってきたことがある。

だから俺はこう返した。


「じゃあとーちゃんにもう1コ買って来てもらおうぜ」


それが俺らの解決方法だったから。


でもその話を芽衣にしたら「そんなの簡単じゃん!」って1つのプリンを半分に分けた。


「こっちが奏志で、こっちが大志のね!」

いつもより少ないプリンはちょっと物足りなかった。

「これでいつでも大丈夫だよ!」

だけど1人1個の俺たちの世界でそれは青天の霹靂ばりに革命的たっだ。

「でも芽衣もほしいからちょっとちょーだい!」

「「芽衣も食うのかよっ」」

1つしかないものは半分こすればいい、その日からそう思うようになった。


みんなで分けたプリンもうまかったから。