「ひろは熱でふわふわしてるかもだけど、俺はいつもと変わんないんだよ」
「…、へ、えっと」
「だから。ひろのこと見てると──…悪いことしたくなるんだって」
──突然のことだった。
「…、ん…っ?」
芦原くんの唇が首筋に触れた。
尖った歯が当たっている感覚。
これは────……噛み付かれている?
髪の毛が頬に当たってくすぐったい。
首筋には、一瞬ちく…、と痛みが走った。はじめて味わう感覚に、思わず上ずった声が出る。
「あしはらく…っ、ん」
視界に映る金髪が揺れる。
「うん?」と下から見上げられて、不意打ちの上目遣いに胸がなった。
はじめは怖いと思っていた三白眼に、いつからドキドキするようになったんだろう。



