「てか、寝てるとこ邪魔してごめんな。俺、隣のベッド行くから」
「……、邪魔なんて、思わないよ」
「ひろはやさしーからなぁ」
芦原くんはサボリに来るといつもこのベッドを使って寝ているから。その名残でカーテンを開けたらしい。
やさしさじゃない。
本当に、邪魔なんて思ってないからそう言ったのに、芦原くんにはうまく伝わっていないみたいだ。
熱が回ってきているのかな。具合がわるい時に人肌が恋しくなるのはどうしてなんだろう。
「じゃあお大事に──…、ん?」
───反射的に、たちあがろうとした芦原くんのブレザーの裾を引っ張った。
芦原くんが驚いたようにぱちぱちと瞬きをしている。
「えー…と、ひろ?この手は…、」
「……もう少し、だけ」
まだ戻らないで、ここに居て。
そんな意味を込めて指先に力を込める。



