芦原くんはカーテンを閉めて中に入ると、カタン…と椅子を引いてベッド脇に座った。
歩いた時に切った風が、芦原くんの香りを連れてくる。
やわらかくてやさしい、落ち着く匂い。
「うわ、あっつ…」
「っ、」
芦原くんの手のひらが伸びてきて、するりと頬を撫でる。
それから額、首…と体温を確かめるように指先が触れて、肩を揺らした。
「……いちいちかわいー反応すんの、やめてよ」
「んえ…?」
芦原くんが困ったように笑っている。
髪の隙間からのぞく耳が少しだけ赤く染まってみえた。
どこがどんな風にかわいく映っていたのかわからないけれど、芦原くんに褒められているならなんでもいいや、とそんな気持ちにすらなった。



