保健室で、モテすぎ問題児くんに甘い噛みあとを付けられました。





吉良くんの言葉に、頭が全然追いつかない。



「玲於のこと好きになった女、口をそろえて言うんだよ、『芦原くんって基本距離近いのに思わせぶりだよね』って。……まあ、思わせぶりっつーか、優しいだけなんだけど」

「……、」

「玲於、ああ見えてちゃんと線引きしてるし」




わたしが知っている芦原くんの情報じゃない。


そのはずなのに、ストン、とわたしの中にそれらの情報が溶けていく気がするのは。




「玲於がおまえにこだわってる理由って、なんなんだろーね?」





───単なる自惚れ、だろうか。




「玲於、いいやつだよ。俺からもおすすめしとく」

「え、」

「じゃ、それだけだから。気を付けて帰んなよ」




そう言うと、吉良くんはまたひとつふあ…と欠伸を落として歩いて行ってしまった。

取り残されたわたしの脳内で、吉良くんから言われた言葉がリピートしている。