「つーか赤城、おまえ今日彼氏いいの?待ってんじゃねーの」
「少し遅れるって連絡来てたんだもん。茜に言われなくても帰るし!」
「じゃあな」
「早く帰れよみたいな顔しないでってば!」
吉良くんが赤城さんにひらひらと手を振る。赤城さんは「茜ホントつめたい!」と文句を言いながらも靴を履き替えていた。
「ひろちゃん、突然ごめんね!」
「あ、え、」
「ビビらそうとかしてなくて。ただホントに、あの玲於が気に入ってる子が気になっただけなの。また話そうね!」
そう言って赤城さんはその場を去ってしまった。
嵐のような女の子だった。色々聞かれたはずなのに、わたしはひとつもまともに返せなかった。
遠くで揺れるウェーブを見つめながら、はあ……とため息をつく。



