「あ。茜!」
「ビビられてんじゃねーの?勝手に絡むと玲於に怒られんぞ」
「ビビらせてないよぉ!?」
やってきたのは吉良くんだった。
ふあ……とだるそうに欠伸をしながら、「はたから見たらカツアゲ」と呟いている。
目が合うと、「よ」と短く挨拶をされた。
慌ててわたしもぺこりと頭を下げる。
「気になるなら玲於に聞いたほうはえーだろ」
「だって〜、玲於教えてくれないんだもん。気になるじゃんか、玲於のお気に入り!ビビらせるつもりはなかったんだよ?」
「赤城は顔の圧が怖いんだわ。せめてその赤リップ取ってからにしな」
「だめ!この色じゃないとあたしじゃないもん!」
「あそ」
「あからさまに興味なさそうにしないでよぉ!この話振ったの茜なんだけど!」
やり取りを見る限り、ふたりは仲が良さそうだ。
むうっと唇を尖らせる赤城さんはすごく可愛くて、同姓のわたしでもドキっとしちゃうくらい。



